水とみどりと暮らす亀岡

亀岡市における流域治水時代のまちづくり
国際学生ワークショップ

世界的に進行する気候変動に鑑み、令和5年5月に「亀岡市流域空間デザイン検討会議」による提言「水とみどりと暮らす 〜亀岡市における流域治水時代のまちづくりに向けた提言〜」が発表されました。この提言に基づき、流域治水時代のまちづくりを具体的に検討する取り組みが求められています。そこで、大学生による市民へのヒアリングや現地観察を踏まえた国際的ワークショップを実施し、亀岡市における流域時代のまちづくりの方向性に関するアイデア交換を行います。

参加校

主体校

千葉大学、京都大学、立命館大学

ゲスト校

デルフト工科大学、筑波大学、京都先端科学大学

主 催

流域空間デザイン研究会(千葉大学 武田史朗研究室、京都大学 山口敬太研究室、立命館大学 花岡和聖研究室・阿部俊彦研究室)

協 力

  • 一般社団法人Fogin
  • デルフト工科大学 ステファン・ナイハウス研究室(オランダ)
  • 立命館大学歴史都市防災研究所
  • 筑波大学 菅野圭祐研究室
  • 京都先端科学大学 丹羽英之研究室
  • 千葉大学国際高等研究基幹 社会価値創造研究支援プログラム 「気候変動時代に応えるレジリエント・ランドスケープ学の創造」

後 援

亀岡市

助 成

科学研究費補助金 基盤研究(B)気候変動に適応する「流域空間デザイン」の方法論的開発(研究課題番号:23H03674、代表:武田史朗)

スケジュール

1日目

TIME
  • 集合・ガイダンス
  • イントロ・メンバー紹介・概要説明
  • プレリサーチの報告

亀岡市役所
B1F 開かれたアトリエ

TIME
  • 曽我谷川・保津川水辺公園周辺の見学

バス移動

TIME
  • 昼食

へき亭

TIME
  • やわらぎの道・七谷川の見学

バス移動

TIME
  • 河原林集落の見学

バス移動

TIME
  • 和菓子づくりの体験

バス移動

TIME
  • 解散
  • 参加者は各宿泊地の農家民宿などで夕食・交流

市役所前

2日目

TIME
  • 集合・ガイダンス

市役所前

TIME
  • 山林の観光化の見学

バス(教員は別途自動車移動)

TIME
  • 生涯学習・道の駅・子育て関連施設の見学

バス(教員は別途自動車移動)

TIME
  • 市街地に取り込まれた「ため池」の見学

バス(教員は別途自動車移動)

TIME
  • 南郷公園・亀山城跡の見学

バス(教員は別途自動車移動)

TIME
  • 昼食
TIME
  • ミッション調査グループ分けの発表
TIME
  • 解散・各班、グループワークへ

サンガスタジアム
1F・会議室C-1は、21:00時まで利用可能

3日目

TIME
  • 集合・ガイダンス

サンガスタジアム
1F・会議室B・C

TIME
  • グループワーク
TIME
  • 昼食
TIME
  • グループワーク
TIME
  • 中間発表
TIME
  • グループワーク(自由)

サンガスタジアム
1F・会議室B・Cは、21:00まで使用可能

4日目

TIME
  • 集合・ガイダンス

サンガスタジアム
1F・会議室B・C

TIME
  • グループワーク
TIME
  • 昼食(弁当)
TIME
  • 最終発表会

サンガスタジアム
1F・会議室A

TIME
  • 懇親会

サンガスタジアム
3F・VIPルーム

TIME
  • 解散

8つのミッション

パイロット・プロジェクト、あるいは今後、実現されるとよい具体的な事柄を、ハードの整備だけでなく実現のために必要な仕組みの提案を含めて提案する。

MISSION

京都・亀岡保津川公園エリア

テーマ
環境と共生する地域資源循環型公園
ヒント
アユモドキ・農業・地域産木材の活用・環境税・OECM
課題

京都・亀岡保津川公園は、京都スタジアムの最初の建設用地とされた土地ですが、曽我谷川沿いに希少種であるアユモドキが生息していることなどから、建設用地としては不適であると判断され、その後に、都市公園の整備用地として都市計画決定されました。
曽我谷川が保津川(大堰川)に合流する手前の計画敷地東端には霞堤があり、河川の増水時にはここから浸水する土地でもあります。
現在は、水田を一部残しながら公園に取り入れ、アユモドキの生息環境も保全する方向での公園の設計が検討されています。
こうした条件を持つ本公園の計画と運営は、亀岡市の流域治水時代のまちづくりにおいて、水と緑とともに暮らす、豊かな亀岡の将来像を体現する試金石ともなるでしょう。

一方で、周知のように、流域治水は山から川までを一体として捉えて初めて成立する考え方であり、公園が水を受け止めるというだけで実現されるものではありません。
山林の健全な管理による保水性の向上なども重要な課題であり、また度々浸水する公園には維持管理上のコストが通常の公園以上に必要になります。
本公園が真に流域治水時代のまちづくりのシンボルとなるためには、それは流域スケールでのマネジメントを考慮に入れた、全く新しい公園の計画や利用方法、維持管理の体制やそれを支える資金循環の仕組みを体現する公園となる必要があります。それは、具体的にどのようなデザインによって可能になるのでしょうか。ハード、ソフト、両方の観点から提案してください。

参考文献

MISSION

平和池跡地エリア

テーマ
生態系保全と雨水貯留
ヒント
OECM・調節池・金融機関投資・グリーンボンド
課題

旧平和池エリアは亀岡市南部に位置しています。旧平和池はかつてダムとして利用されていましたが、1951年に洪水により決壊し、下流部に甚大な被害をもたらしました。
このエリアは現在、ベットタウンとして人気のある南つつじヶ丘桜台という住宅街と隣接していますが、平和池跡地自体のアクセスは必ずしもよくない状況です。また、平和池跡周辺では、水害の記憶を残すための取り組みがなされていますが、実際の土地はほぼ手つかずの状況です。
自然資源が豊富で、水、森林そして生態系が息づき、環境省により重要な里山として指定されています。このエリアを「平和の森自然公園」として整備することが計画されていますが、現在までのところ公園整備を含め跡地の活用はなされていません。

一方、EcoDRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)の考え方に従えば、流域治水時代のまちづくりのためには、このような自然環境を活かしつつ、生態系保全と雨水貯留の両方を目的とした土地管理を行うことには大きな意味があると考えられます。
当然、そのような管理を行うためには一定のコストがかかるため、それを支えるような何らかのマネジメントや、そうした自然環境自体を有効に活用するようなアイデアが必要になります。
こうした課題に答えるために、公園としての活用を前提とする他にも、国際的な目標である30by30の実現のために地域の減災や広域治水に寄与するOECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)として発信することで、広域行政の支援を得るだけでなく、内外の投資を集めるなどの可能性もあるかもしれません。
このような方向性を実現するには、どのような具体的な提案の方向性があるでしょうか。ハード、ソフト、両面にわたる観点から、提案を行ってください。

参考文献

MISSION

亀岡駅南口-南郷公園エリア

テーマ
グリーンインフラによる都市再生
ヒント
雨庭・小規模宅地・高齢化・新たな魅力づくり
課題

JR亀岡駅の南口から南郷公園までの範囲は、現在は高密度に市街化されています。しかし、元々亀岡の中心は亀山城周囲の城下町であり、このエリアは1920年代までは駅にいくための細い道があるだけで周囲は一面の水田でした。1960年代でも、駅前の通り沿いに建物が立ち並ぶのみでした。土地の嵩上げをされた駅南のエリアの開発が進んだのは、つい最近のことです。近年、さらに駅北に京都スタジアムが建設されました。周囲の土地も開発が進んでおり、こうした開発が、水とともに暮らしてきた亀岡ならではの景観や、長期的な安全性を損なうという議論もなされました。

その一方で、現在の駅南口周辺エリアは、背後に亀山城や南郷公園、城下町といった歴史地区があるにもかかわらず、市外からの訪問客を受け入れる玄関口としては、その魅力としても機能としても十分な状況にあるとは言えません。大型店舗も存在しますが、小規模宅地も多く、地域の高齢化も課題です。
気候変動に直面し、流域治水時代のまちづくりを標榜する今、亀岡駅の南口エリアは今後どのような形でのまちの姿を目指すことが望ましいでしょうか。
都市再生には様々な切り口がありますが、本ワークショップにおけるミッションとして、グリーンインフラのアイデアを最大限に活用し、地域の安全にも寄与する新しい都市の魅力づくりの方向性について、ソフト、ハードの両側面から大胆に提案してください。

1920s
1920s(「今昔マップ」より)
1960s
1960s(「今昔マップ」より)

MISSION

安町大池エリア

テーマ
ため池の調節緑地化
ヒント
農業インフラのグリーンインフラへの転用・公園緑地化
課題

安町大池は、かつて農業用水の水源として活用されていましたが、主に1970年代以降の周辺農地の宅地化により、現在はその機能をほぼ失っています。地域からは公園化に向けた要望もあります。流域治水時代のまちづくりにおいて、山の麓にある多くのため池はその使い方によっては調節池としての効果も期待されるところです。
近くに市庁舎があることから市民サービス拠点としての連携も期待できますし、元幼稚園跡までの空間や、現火葬場がある古池周辺などのオープンスペース(現火葬場については、別の敷地への移転新設の基本計画が令和元年に策定されています)へと連なる一体の範囲を、大きな緑地として見ることで、平和台公園の麓に広がるグリーンインフラとしての緑地としての転用を大きなスケールで構想することもできるかもしれません。

しかし、ため池は、もともと公園の水景や調節池として設計されてはいないので、安全性や治水目的の運用に向けては、解決しなければならない問題が様々あります。また、治水目的を兼ねた緑地として計画してもその整備はもちろんのこと、維持管理がどのような主体と資金などのサポートによって実現されるのか、見通しが立たなければ実施は見込めません。
こうした可能性と課題を踏まえて、農業インフラのグリーンインフラへの転用・公園緑地化の可能性に向けた提案を、ハード、ソフトの両面から行ってください。

MISSION

河原林町ー保津町エリア

テーマ
田んぼダム・歴史+グリーンツーリズム
課題

保津川下流の地域は浸水のリスクが高く、水田以外の利用が制約されてきました。しかしその結果として、河原林町-保津町エリアには広大な田園風景が美しく広がっています。水田が多くを占め、亀岡市でも有数の穀倉地帯として知られています。山沿いの集落には旧山陰道が通り、集落内には歴史的な建物景観はもちろん、古くから受け継がれた風土や行事が今でも受け継がれてきました。集落内には歴史的な洪水対策のために生まれた石垣や生垣が見られ、地域独自の景観を形成しています。河原林町周辺には、和らぎの道と呼ばれる道があり、観光利用もされています。ただし、それ以外のエリアでは、その景観の美しさにも関わらず特段の観光利用はなされておらず、集落沿いの河川敷も親水空間として利用できるような整備はされていないのが現状です。
流域治水の視点でみると、このように多くの水田が広がる地域は潜在的な田んぼダムの宝庫であるということもできます。しかし、田んぼダムの実現のためにはその整備だけでなく、その運用においても地域の住民に一定の負荷がかかります。また、田んぼダムは広域に実現して初めて効果を発揮するので、より集約的な雨水貯留を実現するには、一部の水田においては生産性を犠牲にするような管理方法を導入する必要も生じるかもしれません。

こうした方策を単に地域の受ける土地利用や生産性の制約としないためにも、地域の歴史や自然環境を活かしたグリーンツーリズムを推進するデザインアプローチの有効性を検討する必要があります。周到に計画すれば、現在も活発な亀岡市の野外活動の機会をさらに促進する事でグリーンツーリズムの厚みを持たせることも可能かもしれません。
河原林町、保津町エリアでの流域治水に向けた取り組みを観光資源として生かし、地域経済と環境を両立させるような取り組みを、ハード、ソフトの両面からの視点で提案してください。

参考文献
  • 焦 英楠・他(2022):グリーン・ブルースポットを用いた流域全体での洪水調節機能評価 : 京都府亀岡市の支流域をケースとした試行的解析:歴史都市防災論文集,16, p.41-48
  • 焦 英楠・他(2023):グリーン・ブルースポット解析に基づく亀岡市川東地区における流域空間デザインの試行的計画:歴史都市防災論文集,17,p.237-244

MISSION

愛宕谷川山林エリア

テーマ
山林の資源化・健全化・関係人口づくり・環境税
ヒント
マウンテンバイク・プロジェクト、テントサウナ、などによるテーマ型コミュニティ
課題

流域治水は、山林から河川までの一体的なマネジメントによって、人々が安全に、また豊かに暮らすことのできる環境を形成し維持することであると言えます。健全な森林が多くの水を蓄えることにより、下流への洪水が減少し、また湧水などの豊かな自然を支える水源を涵養することに繋がります。しかし、近年の豪雨の激甚化の影響により、国内の多くの地域で台風による倒木被害が続出し、亀岡の山々も、その例外ではありません。このような大きな課題に対する抜本的な解決策を短期間のワークショップで見出すことは困難かもしれません。しかし、こうした状況の背景の一つには、近代以降の産業、流通やエネルギー供給などの構造的な変化によって、私たちの日常的な生活から山と関わりが失われ、山に対する私たちの関心が圧倒的に希薄化してしまったことがあり、またそのことによって、山林の管理に投じられる資本も低下してしまっていることは事実と考えられます。こうした中、北海道上川町のようにマウンテンバイクのコースを開設し、山林に対する市民の利用と関心を醸成しようとする試みもあり、亀岡市でも、クラウドファンディングによる「亀岡里山サウナ建設プロジェクト」などの試みも始まっています。

本ミッションでは流域治水時代のまちづくりに向けたパイロットプロジェクトとして愛宕谷川山林エリアを取り上げます。このエリアは、その上流部にあるため池周辺では流域治水に寄与する整備も検討されていますが、台風被災後の山林の回復には未だ時間がかかる状況です。ここをフィールドとして、山林の環境を生かした新たなテーマ型コミュニティの醸成をはかり、新しい循環の触媒となるような独自独自性のある提案を行ってください。

小流域プランニング型

流域まちづくりビジョンについてのブレーンストーミングとして、
二つの小河川を軸とした小流域スケールの流域まちづくりのプランニングを提案する。

MISSION

七谷川流域

キーワード
田んぼダム/ため池/農村観光/天井川/山林管理活用/他
課題

流域治水時代のまちづくりは、支流域単位で考える必要があります。七谷川流域の下流域である川東の保津町・河原林町は、古くから浸水被害を度々受けており、平成16年には台風23号による浸水被害がありました。一方、七谷川流域には広大な水田などの農地が広がっており、田んぼダムなどにより、水を貯留する可能性を有しています。また、川東地区は、古代から交通の要衝として栄え、保津町・河原林町の山麓や微高地には丹波国分寺跡及び丹波国分尼寺跡、出雲大神宮などの社寺群などの歴史的遺産や、集落が点在します。また、農業も盛んであり、川東の山地の管理・活用も重要な課題です。これらの風土の遺産や農地・山林を活用した、文化体験・交流の地域づくりが期待されます。

また、流域の上流にはため池が点在し、農業用溜め池として整備された平の沢池では1年を通じて里山と水辺の野鳥が観察でき、特にカモ類が渡来する秋から春にかけては種類、個体数とも多く認められます。中池は全国的にも数少ないオニバスの自生地でもあり、七谷川下流では、天然記念物アユモドキへの配慮が必要など、生態系保全の観点からも七谷川流域における希少生物生息地づくりの取組みが期待されます。

流域全体で下流域の浸水被害を防ぎ、生態系を含む流域全体の環境価値を向上させるとともに、地域の歴史資源・自然資源を活用した地域社会の活性化を考えることが求められます。このような地域づくりの方向性について、ソフト、ハードの両側面から具体的な提案を行ってください。

MISSION

曽我谷川流域

キーワード
京都・保津川親水公園/アユモドキ/支川の遊水池/田んぼダム/他
課題

流域治水時代のまちづくりは、支流域単位で考える必要があります。曽我谷川流域は、桂川との合流部や下流域、旧河川沿いを中心にたびたび浸水被害を受けています。下流部や旧河川跡地には市街地が広がっており、その被害軽減のためには、上流で水を貯めることが期待されます。また、沿川にはガレリアや京都先端科学大学 京都亀岡キャンパスなどが立地し、農地が広がっています。これらの既存施設や新たな施設を活用した、流域での治水とまちづくりが期待されます。

また、曽我谷川最下流部・桂川合流部は天然記念物アユモドキの生息域となっており、その整備においては特に配慮が必要です。
流域全体で下流域の浸水被害を防ぎ、生態系を含む流域全体の環境価値を向上させるとともに、地域資源を活かした地域社会の活性化を考えることが求められます。このような地域づくりの方向性について、ソフト、ハードの両側面から具体的な提案を行ってください。

参考文献
流域空間デザイン研究会による
亀岡市での他の取り組み